至仏山・笠ヶ岳・尾瀬ヶ原(その1)

7月26日(木) 晴れ 36.0℃
コース】鳩待峠<6:02>━━オヤマ沢田代<7:10>━━小至仏山<7:34>━━至仏山<8:08>━━小至仏山━━オヤマ沢田代<8:50>━━小笠<9:23>━━笠ヶ岳<9:54>━━小笠<10:22>━━オヤマ沢田代<10:57>━━鳩待峠<11:40>━━山の鼻<12:24>━━牛首<13:06>━━山の鼻<13:38>━━鳩待峠<14:23>
トータル行動時間     8時間21分

5:28 戸倉第一駐車場に到着
タクシーの乗車が定員に達するまで少し待つ

6:02<0分>鳩待峠


至仏山登山口


深山金鳳花(ミヤマキンポウゲ)
キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草高山植物
北海道〜中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の湿り気のある場所に生え、雪渓周辺に大群落をつくることが多い。
高さは10〜50 cm。葉は大きく3つに裂け、 裂片はさらに細かく裂けている。花は黄色い直径2 cmほどの5弁花で、丸みを帯びている。花期は7〜8月。雪解けあとに開花する。
基準標本は、木曽駒ヶ岳のもの。田中澄江が『新・花の百名山』の著書で、ミヤマキンポウゲなどの高山植物と北ノ俣岳を紹介した。秋田県レッドリストの絶滅危惧II類に指定されている。南アルプス仙丈ヶ岳などでは、ミヤマキンポウゲを含む高山植物がシカの食害を受けて減少傾向にあり、防護柵による回復実験が行われている。


小葉擬宝珠(コバキボウシ)
ユリ科ギボウシ属の多年草。狭義には、前掲の種のH. sieboldii var. sieboldii f. spathulata(シノニムH. helonioides)を言う。
花茎の高さは30-50cmくらいになる。葉は根生葉、形は長楕円形、披針形で、葉の長さは10-20cm、幅は4-8cmくらいになり、葉柄がつく。花期は7-9月で、漏斗型の濃い紫色から淡紫色の花をやや下向きにつける。花軸につく蕾が下部から上部へと開花していく。オオバギボウシに比べると全体に小さい。


赤物(アカモノ)
ツツジシラタマノキ属の常緑小低木。別名はイワハゼ(岩黄櫨)。北海道、本州(主に近畿以北の日本海側)、四国の低山帯〜亜高山帯の日当たりのよい場所に生える。
高さは10〜30cm。花は白〜淡い桃色。花の大きさは6〜8mmで釣鐘形、縁が小さく5つに裂け、軽くカールしている。萼はあざやかな赤色をしている。花期は5〜7月。
花が終わると萼が成長し、果実を包み込み、赤色の偽果となる。この偽果は食用になり、甘みがありおいしい。名前は赤い実から「アカモモ(赤桃)」と呼ばれ、これが訛って付けられたといわれる。


紅更紗灯台(ベニサラサドウダン)
ツツジドウダンツツジ属の落葉低木。別名、フウリンツツジ。
樹高は2-5mになる。若い枝は無毛。葉は長さ3-10mmの葉柄をもって枝先に集まって互生する。葉身は倒卵形で、長さ2-5cm、幅1-2cmになり、先端はやや尖るか鈍く、下部は葉柄に流れる。葉の表面には短い毛が散生し、裏面の側脈の基部には褐色の縮れた毛が密生する。縁には先端が長い毛状になる微小鋸歯がある。
花期は5-6月。枝先に長さ2-3cmの総状花序をつけ、10個ほどの花が1-2cmの花柄の先端に下垂してつく。萼は鐘形で深く5裂する。花冠は長さ8-10mmあり、鐘形で先端は浅く5裂する。花冠の色は、先端が淡紅色になり下部は黄白色で紅色の縦条が入る。雄蕊は10本ある。果実は螬果で上向きにつく。


白山石楠花(ハクサンシャクナゲ)
ツツジシャクナゲ亜属の低木。
北海道・本州・四国と朝鮮半島北部の亜高山帯から一部はハイマツ帯まで分布する。樹高は、亜高山帯では3mほどにもなるが、ハイマツ帯では環境が厳しいため50cmにも満たない場合がある。花は白から淡い紅色で、内側に薄い緑色の斑点がある。亜高山帯の暗い針葉樹林内を彩る代表的な花である。
八重咲きの品種としてネモトシャクナゲ(ヤエハクサンシャクナゲ)(R. brachycarpum G. Don f. nemotonum (Makino) Hara)がある。


岩銀杏(イワイチョウ)
ミツガシワ科の多年草。別名、ミズイチョウ(水銀杏)。本種のみでイワイチョウ属を形成する(1属1種)。
かつての属名は Fauria であったが、国際植物分類学会(IAPT)は Fauria をシノニムとし、Nephrophyllidium を正式な属名にすることを決定した。
花茎の高さは20cmから40cm。葉は根生し、厚い腎臓形で葉柄があり、縁は鋸歯状になる。秋になると黄葉する。花期は6月から8月で、花茎の先に5裂する白色の花を数個咲かせる。


褄取草(ツマトリソウ)
サクラソウツマトリソウ属の多年草APG植物分類体系では、ツマトリソウ属はヤブコウジ科に移されている。和名の由来は、花弁の先端にしばしば淡い紅色の縁があり、その色の入り方が鎧の威色目の一つである褄取りに似ているため。
茎の高さは10-15cm。葉は茎に互生し、茎の上部に輪生状につく。葉の形は広被針形で、先が尖り、葉身は長さ2-7cm、幅1-2.5cmになる。花期は6-7月で、先端の葉腋から花柄を伸ばし、白色の径1.5-2cmの花を上向きにつける。花冠は7弁に分かれて咲き、雄しべは7個、雌しべは1個ある。


岩鏡(イワカガミ)
イワウメ科イワカガミ属の多年草高山植物
常緑の葉は丸く、光沢がある。花期は春から夏。花は淡紅色で、花弁は5つに分かれ、その先端はさらに細かく裂けている。花茎は10〜15cmで、5〜10輪の花を横向きにつける。和名のイワカガミ(岩鏡)は、岩場に生えることと、光沢のある葉を鏡に見立ていることに由来する。


銀竜草(ギンリョウソウ)
シャクジョウソウ科の多年草(新エングラー体系ではイチヤクソウ科に、APG分類体系ではツツジ科に含める)。腐生植物としてはもっとも有名なものの一つ。別名ユウレイタケ
千島列島、樺太朝鮮半島、中国、台湾に分布し、国内では日本全土に分布する。


水場


小湿原


綿菅(ワタスゲ)
カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草。別名でスズメノケヤリ(雀の毛槍)という。
北半球の高山や寒地に分布する。日本では北海道から中部地方以北の高山帯から亜高山帯の高層湿原に分布し、大群生をつくることが多い。岐阜県レッドリストの準絶滅危惧の指定を受けている。基準標本はヨーロッパのもの。
高さ30-50 cm。花期は5-6月。白い綿毛を付ける果期は6-8月。花が終わると直径2-3 cmの名前の由来ともなっている白い綿毛を付ける。この綿毛は種子の集まりである。


立山竜胆(タテヤマリンドウ)
リンドウ科リンドウ属の越年草。ハルリンドウの高山型変種。高山植物
高さは10cmくらいになる。茎につく葉は対生し、幅3mm、長さ7mmほどの披針形で茎に寄り添う。花期にも根元に卵形の根生葉が残る。花期は6月から8月で、漏斗状の淡青紫色の花を、茎の上部に1個、上向きにつける。花は日があたっている時だけ開き、曇天、雨天時は、筆先の形をした蕾状態になって閉じている。


四葉塩釜(ヨツバシオガマ
ゴマノハグサ科シオガマギク属に属する多年草高山植物である。エゾヨツバシオガマ P. chamissonis の変種で、日本には、他に2変種が分布する。
北海道〜中部地方以北の高山帯に生育している。シオガマギクの仲間では最もよく見られる種である。同属のミヤマシオガマなどが岩場などに生えるのに対し、ヨツバシオガマは湿地帯に生える。高さは20〜50cm。名前の由来のとおり、シダのような葉が茎の節ごとに4つずつ輪生する。花期は6〜8月で、薄紫色の太くて短い花弁が数段に重なり輪生する。ヨツバシオガマの大型種をハッコウダシオガマ(またはキタヨツバシオガマ)と呼ぶこともあるが、厳密に区別することはできない。


7:10<68分>オヤマ沢田代


山頂は真っ白


稚児車(チングルマ)
バラ科ダイコンソウ属の落葉小低木の高山植物である。一般にダイコンソウ属に分類されるが、チングルマ属(Sieversia)に分類する説もあり、確定していない。
東日本(北海道〜中部地方以北)、アリューシャン列島、カムチャツカ半島に分布する。高山の雪渓周辺の草地や砂礫地に生える。高さは10cm程度。枝は地面を這い、群落を作る。葉は羽状複葉。花期は6から8月。花茎の先に3cmほどの白い花を1つ咲かせる。花弁は5枚で、多数の黄色い雌しべと雄しべがある。花後、花柱は伸びて放射状に広がる。和名のチングルマは、この実の形が子供の風車(かざぐるま)に見えたことから稚児車(ちごくるま)から転じて付けられた。
大雪山旭岳周辺の登山道沿いに数百mも続く大群落が有名である。田中澄江が『花の百名山』の著書で、黒部五郎岳を代表する高山植物のひとつとして紹介した。また『新・花の百名山』で、鹿島槍ヶ岳を代表する高山植物として、シナノキンバイ、オヤマノエンドウ、タカネミミナグサと共に紹介した。
富山県には「ちんぐるま」という名の和菓子がある。


お花畑


信濃金梅(シナノキンバイ)
キンポウゲ科キンバイソウ属の多年草である。
北海道〜中部地方以北の高山帯に生える高山植物。雪渓が溶けたあとの湿った草原に生える。高さは20〜70cm。花は直径3〜4cmのあざやかな黄色で萼片が5〜7個ついており、花弁のように見える。花期は7〜8月。
田中澄江が『新・花の百名山』の著書で、笠ヶ岳を代表する高山植物のとして、ミヤマダイコンソウとヒメレンゲなどと共に紹介した。


岩下野(イワシモツケ)
学名:Spiraea nipponica 花期:初夏
日当たりの良い山地の岩場に生える落葉低木です。


伊吹麝香草(イブキジャコウソウ)
シソ科
日当たりの良い岩礫地などに生える。芳香のある精油成分を分泌する。滋賀県伊吹山に多い。
花期:7月上旬〜8月上旬


大文字草(ダイモンジソウ)
ユキノシタユキノシタ属の多年草
根茎は短く、分枝しない。根出葉に長さ5-20cmになる葉柄があり、葉身は長さ3-15cm、幅4-20cmになる腎円形で、基部はくさび形または心形で、縁は5-17浅裂する。葉にはふつう長い毛が生える。
花期は7-10月。高さ5-40cmになる花茎を出し、集散花序に白色まれに淡紅色の花をつけ、ときに円錐状になる。萼裂片は長さ2-3mmの卵形から卵状楕円形で、斜開する。花弁は上側の3弁が長さ3-4mmの楕円形で、下側の2弁が長さ4-15mmの線状楕円形になり、「大」の字になるが、上向きに咲く花の花弁はほぼ同じ長さになる。雄蕊は長さ3-4mmで10個あり、葯は橙赤色または暗紅色になる。雌蕊は2個の心皮からなり、花柱2本を残し上部までほぼ合着する。果実は卵形の螬果で長さ4-6mm。種子は楕円形で長さ0.8mmになる。
和名は、花が「大」の字に似ることからついた。


チングルマ


上州吾妻菊(ジョウシュウアズマギク)
キク科ムカシヨモギ属の多年草でアズマギクの高山型の亜種である。また、アズマギク E. thunbergii の他の変種も説明する。
ミヤマアズマギクは、東アジアと日本の北海道〜中部地方以北の高山帯の乾いた礫地や草地に生える高山植物でアズマギクの亜種。花期は、7〜8月。茎の先端に直径3cmほどの頭花を1つ咲かせる。花の中心は黄色、周りの花弁は薄紫をしている。エイサ・グレイ(Asa Gray)が学名を命名した。
群馬県至仏山新潟県谷川岳周辺に分布するミヤマアズマギクの変種。和名は、分布している上州地方にちなむ。


峰薄雪草(ミネウスユキソウ)
キク科ウスユキソウ属に属する高山植物である。変種にミネウスユキソウがある。
ウスユキソウは北海道から九州にかけての低山帯から亜高山帯にかけて分布し、ミネウスユキソウは本州中部の高山に分布している。両者は同一種であるが、分布域の高度の違いとそれに伴う環境の違いから呼び分けられている(同一種内の変種として区別される場合もある)。どちらの型も日本のウスユキソウ属の中でもっとも分布域が広く、数も多い。
花はヨーロッパのエーデルワイスと比べて花びら(苞葉)の幅が厚い。
ウスユキソウ属の中では比較的綿毛が少なく、かぶっている雪が本当に薄い印象がある。


チングルマ


細葉雛薄雪草(ホソバナウスユキソウ)
キク科ウスユキソウ属に属する高山植物である。変種にミネウスユキソウがある。
ヨーロッパアルプスの名花、エーデルワイスに近縁の植物。蛇紋岩質の山、至仏山笠ヶ岳谷川岳などにしか見られない。蛇紋岩変形植物。
花期:6月下旬〜7月中旬


7:34<92分>至仏山


高嶺撫子(タカネナデシコ)
ナデシコナデシコ属の多年草カワラナデシコの高山型の種である。
茎は直立して、高さは15-40cmである[2]。長さ3-7cm、幅 2-5 mmの葉が対生する。茎の先に直径4-5 cmの紅紫色の花を1-3個つける。開花時期は7-9月。花弁は5個で先端が細かく裂ける。雄しべは10個。萼の基部に2対の苞がある。
ユーラシア大陸北部と、日本の北海道・中部地方以北の高山帯の岩礫地や草地に分布する。基準標本はドイツのもの[2]。田中澄江が『花の百名山』の著書で斜里岳を代表する花の一つとして紹介している。


釣鐘人参(ツリガネニンジン)
キキョウ科ツリガネニンジン属の多年草
花茎の高さは40-100cmになり、葉は茎に3-5枚輪生し、稀に互生または対生する。茎につく葉の形は楕円形から披針形で、やや厚みがあってつやがない。長さは4-8cmで縁に鋸歯がある。
花期は8-10月で、淡紫色の下を向いた鐘形の花を咲かせ、数段に分かれて葉と同じように茎に輪生する枝の先に少数ずつをつける。花冠は長さ15-20mmで先端はやや広がり、裂片は反り返る。萼片は糸状で鋸歯があり、花柱が花冠から突出する。


8:08<126分>至仏山山頂
山頂はあいにくのガス・・・展望無し
至仏山】プロフィール
燧ケ岳とともに日本百名山に名を連ねる尾瀬の名山。蛇紋岩の岩魂に覆われた頂に立つと、東面眼下に広がる尾瀬ヶ原ごしに燧ケ岳が大きい。この素晴らしい展望と麓から望む優美な山容に加え、高山植物に恵まれた花の名山としても人気が高い。ミズバショウ咲く尾瀬ヶ原のバックに残雪を抱いた至仏山がたおやかに横たわる構図は尾瀬を代表するアングルのひとつである。そのような優美な山容の至仏山だが、西面は利根川氏支流の楢又川の源流が荒々しく山肌を刻み、山頂部もそれほど急峻ではないものの岩の露出する尾根となっている。コースは鳩待峠からと山の鼻からの2つがあり、山頂を往復するだけなら標高差の少ない鳩待峠から登るのが一般的。(上毛新聞社 ぐんま100名山より)

出会った花