那須アルパカ牧場

8月23日(水)
那須旅行の二日目、那須のアルパカ牧場へ立ち寄りました。
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アルパカ牧場は、11万平方メートルの広大な敷地中、飼育ゾーンに2万5千平方メートルに現在約400頭のアルパカたちがのびのびと暮らしています。

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これだけの数のアルパカが一堂にいるのは、日本では那須アルパカ牧場だけです。アルパカは、南米アンデス地方の標高3000m以上の高地、寒さのレベルでは、日本であれば北海道以上に寒い場所にすんでいる動物です。

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多くの人にアルパカのことを知ってもらうためには、東京に近い方がよいと考え、関東に近い場所でアルパカが快適に暮らせるアンデスの高地に似た環境はないかと検討した、その結果見つかったのが、この那須高原だったのです。

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アルパカ牧場のアルパカ達は1999年にジェット機をチャーターし、南米アンデスから200頭を輸入しました。しかし最初の1年は、環境の変化や、また日本ではアルパカに対する獣医療の技術、情報、薬などが乏しかったために、なかなか病気に対応できず、死んでしまう個体も少なくありませんでした。

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日本に初めてアルパカを導入するというのは、手探り状態 … アメリカから獣医師を招き、薬も取り寄せる、などの対策をとり最近では出産率も向上し、順調に頭数が増えています。

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日本100名山の那須岳(正式名称:茶臼岳)山麓の風光明媚な土地で、ゆったりと暮らすアルパカ達の牧歌的な情景を目にすることができます。

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当牧場にやってきたばかりのアルパカたちは、臆病で警戒心が強く、飼育員が近づくと逃げてしまっていました。けれども、愛情をかけた飼育方法を実践することにより、アルパカ達の警戒心を徐々になくしていくことに成功しました。その結果、2006年の一般公開時には来場者の手からエサを食べたり、広場でふれあったりするようになる人なつっこいアルパカに成長しました。

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飼育員一同こうした自らの経験から、たとえアルパカのように臆病な動物でも、時間をかけて丁寧に愛情いっぱいに育てれば、人なつっこくなることを学びました。現在はアルパカを通してたくさんの人に笑顔と癒しを届けられる事を願い、高齢者施設や授産施設などにも訪問させていただいています。

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臆病なアルパカを人なつっこくするため、当牧場では従来の飼育方法から独自の飼育法に切り替えました。はじめに、エサの与え方。当初のエサの与え方は、飼育員が放牧場にエサをまいたあとに、ケージ内にいるアルパカたちをそこに追い込む形でした。そこには、飼育員との楽しいふれあいなどなく、それどころかアルパカたちを怖がらせていたのです。

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そこで、アルパカたちが放牧場にいる状態で、飼育員がエサを運ぶ方法に移行。さらにブラッシングやお散歩などのふれあいの時間ももうけました。このように飼育員とアルパカが楽しくふれあう機会を増やしていくうちに、アルパカたちは心を開くようになったのです。

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最初は、アルパカにあだ名をつけて呼んでいました。飼育員たちも気が向いたときにつけて呼ぶ程度でしたが、それを繰り返すうちに、あだ名で呼ぶと近寄ってくる子が出てきたのです。

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そんなアルパカたちの姿がかわいくて、飼育員たちは積極的にあだ名で呼び、よりいっそうかわいがるようになりました。そしてそれを機に、アルパカたちの人なつっこさはパワーアップしていったのです。最近では、本格的な名前をつけるようになりました。クリアが生まれたときに、飼育員全員で話し合いながら一頭一頭の名前を考えています。

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「アルパカになぜ調教?」と思われる方もいるかもしれませんが、調教を行えば、うまくできたことに対する報酬として“ごほうび”を与えることができます。ごほうびを繰り返し与えることによって「人間=おいしいものをくれるもの」、さらには「人間のいうことを聞く=おいしいものがもらえる」という方程式を頭にインプットさせることができ、信頼関係を築くのが格段にスムーズになるからです。

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当牧場で教える指示語の基本は「ウォーク」「ターン」「ストップ」の3つ。これだけ教えておけば、どこに行っても戻って来られますからね。

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南米アンデス山脈の湿潤高原地帯(海抜およそ3,000~5,000m)で、主に毛を利用する目的のために放牧されています。アンデス地方では、アルパカははるか昔インカ帝国時代より、家畜として人とともに暮らしてきました。現在はアメリカやヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランドでも飼育されています。日本では1999年に当牧場が初めての牧場飼育をスタートさせました。

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草食動物のアルパカはライオンなどの肉食動物と違って、攻撃する武器を持たず、臆病でシャイな性格をしています。臆病なのに好奇心旺盛という矛盾したキャラも、多くの人から愛されるヒミツ。

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もふもふでボリューミーな毛で覆われたユニークな見た目が特徴。ラクダのようにコブはないものの、長いまつ毛の愛らしいパッチリお目々や、ちょっととぼけた愛嬌ある顔立ち、しなやかな長い首などは、ラクダとよく似ています。

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うれしいとき、ハッピーなときは、ピョンピョンとスキップするように跳びはねて走る。当牧場では「ルンルン走り」と命名!

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来場したときにしっぽをピンとまっすぐ持ち上げるクリアがいたら、「来てくれてうれすぃ~い!!」といっているのかも。ただし「降参です、勘弁してください」のボディランゲージと似ていて間違えやすいので、表情やそのほかの仕草などもしっかりチェックしましょう。

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怒っているとき、恐怖なとき、病気で体調が悪いときなどのサインで「それ以上、近くに来るな」という意味。ウマも同じ。

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不安なとき、警戒しているとき。物音がしたり、侵入者が来たりしたときによく行います。耳はアンテナと同じ役割。まっすぐ立てて、微妙に動かし、少しでも情報収集をしようとしているのです。

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最も恐怖心でいっぱいになり「絶対こっちに来ないでっ!」というときには、臭いツバを吐く。「アルパカはツバに注意」といわれるが、彼らは蹴ったり、噛んだりもできない臆病な動物なので、ツバが唯一の武器なのです。仲間同士でエサをとりあうときにもツバを吐きます。

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その場でうずくまり、かたまってしまう体勢をするときは、怖くて、走って逃げることもできない状態。“スフィンクス・ポジション”ともいわれています。

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不安で怖いときに、しっぽをお尻にぴったりつけて足の間に挟み込むようにします。イヌが怖いときに、しっぽを丸め込むのと似ている。

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アルパカには、基本的に年に一度の毛刈りが必要です。当然ですが毛刈りをしなければ毛は伸び続け、夏は暑さに耐えきれず、アルパカの健康に支障を及ぼす恐れがあるからです。とくに熱中症などになれば、命にかかわる恐れもあるので予防は欠かせません。つまり毛を利用する人間だけでなく、アルパカ自身の健康を守るためにも、年に一度の毛刈りは欠かせないというわけです。那須アルパカ牧場では、毛刈りは毎年初夏のころに行います。

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アルパカの毛刈りは、バリカンを使って一気に行われます。毛刈り中アルパカ達は怯えていますが、終わってスリムになると「スッキリした~!」といわんばかりの涼しい顔をしています。しかも、毛刈り直後の涼しげな「ビズ・パカ」は、もふもふのアルパカとはまったく別の動物に見えるので必見!さらに毛刈りをする際にハートや鳥の羽をあしらった「アート・パカ」を見つけるのも楽しいです。

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南米アンデスの過酷な自然環境から身を守るために、アルパカ毛は非常に細いのが特徴。なんと直径は0.02~0.03mm程度といわれています。その極細毛こそが、驚きのやわらかさを生み出しています。絹のようなしっとりとしたなめらかさを持ち、ウールのようなチクチク感もありません。

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アルパカは、その毛並みで大きく「スリ」と「ワカイヤ」の2種類に分けられます。まず、短く立った毛を持つものは「ワカイヤ」と呼びます。ぬいぐるみみたいに、もふもふのボディになるのはこちらのタイプ。長く縮れた毛を持つものは「スリ」と呼びます。ワカイヤよりも毛が細くやわらかく、シルキーな光沢が魅力。ただしデリケートな性質から繁殖が難しいスリは、毛の希少性が高いのが特徴です。

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国際的なアルパカの団体によると、毛色は25色。ホワイト、キャラメル、チョコレート、ブルーグレイ、ローズグレイ、ブラックまで、すべての毛色に名前もついています。さらに混色のミックスも含めると、その数は数えきれません。これだけ美しい天然の毛色がそろっていれば、染色の手間も省けますし、自然にもやさしいですよね。

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アルパカ牧場の飼育員が、アルパカの持つ癒しパワーに着目するようになったのは、来場されたお客さまにいただいた声がきっかけでした。「かわいいアルパカたちに癒されました~」「笑っているような顔やのんびりした仕草に癒されますね!」。お客さまは口をそろえて癒されたとおっしゃるのです。そして、癒されたとおっしゃるお客さまの顔には輝くような笑顔が満開。アルパカは単なる癒しにとどまらず、癒しを超えたお客さまに輝くような「元気」を取り戻してくれる、そんな不思議なパワーがあるのではないかとも考えるようになりました。

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人と接するときに相手が笑顔でいてくれると、ついこちらも微笑んじゃいますよね。そう、笑顔には笑顔を引き寄せるエネルギーがあります。人なつっこく近寄ってくるアルパカの表情を見てみてください。「来てくれてうれしい!」といわんばかりにキラキラ輝く瞳に、キュッと上がり気味の口角…、アルパカがときおり見せる表情は、まさに笑顔そのもの。温厚な性格も手伝って、人を温かく包み込むやさしさが満ちあふれています。そんなアルパカを見ている人も、知らず知らずのうちに笑顔になっているのです。 本来、「笑う」という感情表現は人間にしか認められていませんが、アルパカにもあるのではないかと思えてきます。

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アルパカを初めて見た人の感想の多くは、「かわいい~」と「なんか不思議?」の2通り。アルパカの魅力は、単に正統派のかわいいだけでなく、摩訶不思議な魅力も兼ねそなえた「不思議かわいい」ところにあるようです。アルパカが不思議かわいい最大のヒミツは、なんといっても毛並みのもふもふ感!一度見たら忘れないボリューミーなその毛並みは、古今まれに見る珍獣です。みょうに長い首がアンバランスな体型は、不思議なかわいさがあって、ゆったりとしたのどかな牧場風景と不思議かわいいアルパカ達の異次元空間が広がり、ついつい時間を忘れて見入ってしまいます。

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これまでモコモコ感がかわいい動物の定番といえばヒツジだったけれど、アルパカの毛はそれをはるかに上回るボリューム感。なんと毛刈り前の毛の厚みは、約 20cmにも及びます。アルパカの毛がこれだけボリュームたっぷりなのにはワケがあります。そのカギはアルパカの故郷である南米アンデスにあります。アンデスの高地は、1日の寒暖の差が50℃以上にも及ぶ過酷な自然環境の地。ボリュームたっぷりの毛は、暑い直射日光や凍てつく寒さや強風から身を守ってくれる必需品だったのです。

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大人になってもかわいいアルパカですが、ベビーのかわいさはまた格別です。ベビーアルパカは、スペイン語で「クリア」といわれ、当牧場でもそう呼んでいます。クリアのいちばんの魅力、それはズバリ見た目のかわいさ。大人アルパカよりもひときわクリクリしたお目々に、産毛のようなほわほわの毛、頼りないほどに華奢な体は、あどけない愛くるしさがいっぱいです。大人アルパカ以上に人なつっこく寄ってきたり、元気いっぱいピョンピョン跳びはねて走り回ったり、ママにベッタリ甘えたり、赤ちゃん特有の愛らしい仕草にも注目。見ているとほわ~んとしたやさしい気持ちになり、幸せをいっぱいもらえます。

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クリア同士でふれあって遊ぶ姿はとても微笑ましいです。いっしょに外を眺めたり、においをかぎあったり、おしゃぶりをしあったり…仲良く楽しそうに遊ぶその姿は、ほのぼのしたのどかな気持ちにさせてくれます。仲間とのコミュニケーションを通して、自分の意志を伝えたり、相手の気持ちを読み取ったり、群れで生活していくためのルールをいろいろ覚えているのです。

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ヌやウマなどの動物の癒し効果を利用して人間の心身の健康を回復させる「アニマルセラピー」ってご存じですか?当牧場のアルパカたちも、これまでに何度か高齢者施設や障害者の授産施設などを訪問し、本格的なアニマルセラピーとまではいきませんが、ちょっとした癒しの時間を楽しんでいただいています。

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攻撃する武器をまったく持たないアルパカは、人間に危害を加える恐れがないので安心してふれあうことができます。ウマなどのようにパワーもないので、蹴られる心配も少ないです。またのんびりと穏やかなアルパカの性格は、心を落ち着かせ、深いくつろぎをもたらしてくれるのが魅力です。

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那須アルパカ牧場に来られた高齢者の方が、アルパカに触ろうとしたりエサをあげようとしたりして、車椅子から身を乗り出して立ち上がったという事がありました。このように、動物に触れようと努力することは、全身のリハビリにとても有効です。もふもふのやわらかい毛を持つアルパカは、多くの人が触りたい衝動を起こさせるでしょう。

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人間や動物が幸せだと感じるときには、脳内からあるホルモンが分泌されることがわかってきました。その名は「オキシトシン」。相手への信頼感や絆を深める作用もあり、別名「絆ホルモン」と呼ばれています。人間が動物の体をやさしくなでるときに分泌され、またなでられる側の動物の体内でも分泌量が高まることが証明されています。人間と動物がふれあうことによって、お互いに絆ホルモンの分泌が増えて、幸せいっぱいの気持ちをもたらしてくれるというわけです。

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